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図解・ビジュアルによる学習の科学 — SVG図解設計ガイドラインのためのエビデンスレポート

PEDAGOGY.md の付録。リサーチエージェントによる調査(2026-07-12、WebSearch/WebFetch で一次情報・メタ分析を確認)。確認できなかった数値は「未確認」と明記。

目的: テキスト教材(Markdown→HTML学習サイト)にSVG図解を追加する際の設計判断を、学習科学のエビデンスに基づいて行えるようにする。

効果量の読み方: d / g(Cohen's d / Hedges' g)は標準化平均差。目安として 0.2=小、0.5=中、0.8=大。Hattie に従い d > 0.40 を「教育的に重要」 とするのが Mayer の基準(Mayer, Multimedia Instruction 章, 2014)。


1. 総論: 「図を足せば良い」は半分だけ正しい

含意: SVG図解は「本文の説明構造をそのまま視覚化する図」に限定して足す。飾りの図は入れないほうが成績が良い。


2. 原則別エビデンスとSVG設計への翻訳

数値の出典: 特記なき d は Mayer 2014 章(各原則の実験群の中央値)。独立メタ分析値は個別に付記。Cambridge Handbook of Multimedia Learning 3rd ed.(2021, Mayer & Fiorella 編)の表そのものはWebで直接確認できなかったため中央値の2021年版更新値は未確認。ここでは検証できた2014年版の値+独立メタ分析を採用する。

2.1 マルチメディア原則(Multimedia)

2.2 一貫性原則(Coherence)= 余計なものを削る

2.3 シグナリング原則(Signaling)= 重要箇所の合図

2.4 空間的近接原則(Spatial Contiguity)/ 分割注意効果

2.5 時間的近接原則(Temporal Contiguity)

2.6 冗長性原則(Redundancy)

2.7 セグメント化原則(Segmenting)

2.8 事前訓練原則(Pre-training)

2.9 モダリティ原則(Modality)

2.10 パーソナライゼーション/音声/画像原則

2.11 期待原則(Expectation / 事前質問)


3. 理論的基盤: なぜ図は効くのか(正しい理屈)

3.1 二重符号化理論(Paivio)と CTML の情報処理モデル

3.2 画像優位性効果(Picture Superiority Effect)


4. 描画効果(Drawing Effect)— 学習者に描かせる・再現させる


5. 誘惑的詳細効果(Seductive Details)— 図が学習を害するとき


6. 認知負荷理論(Sweller)— 図解設計の会計原理


7. 学習スタイル神話の否定 — 「ビジュアル学習」の正しい正当化


8. ダイアグラムの種類別・技術教育(プログラミング/API)分野


9. 技術学習教材向け SVG図解デザインチェックリスト

Do(やる)

  1. 本文が因果・構造・手順を説明している箇所にだけ図を付ける(multimedia 原則: 内容対応する図のみ d>0.4 級)。
  2. ラベルは図の部位に直接埋め込む。凡例・脚注参照ではなく <text> を部品の隣に(spatial contiguity: g=0.63〜d=1.12)。
  3. ラベルの語彙を本文のキーワードと完全一致させる(signaling+統合支援)。
  4. 強調は1〜2色+残りは低彩度のスポットライト設計にする(signaling d≈0.52)。
  5. 複雑なシステムは「俯瞰1枚+ステップ図」に分割する(segmenting d≈0.8〜1.0)。
  6. 図の前に部品名の事前導入(pre-training d≈0.85)と「この図で何が分かるようになるか」の一文(expectation d≈0.83)を置く。
  7. 手順には番号①②③を図と本文の両方に振る(対応付け=統合の足場)。
  8. 章の想定読者レベルで情報密度を変える: 入門=高支援、応用=簡素(expertise reversal)。
  9. 図を使った能動課題を付ける: 白紙再現・ラベル穴埋め・自分で概念地図を描かせる(drawing effect / concept map 構築 g=0.72)。
  10. 図同士を視覚的に差別化する(レイアウト・形状・配色の変化で弁別性を確保 — picture superiority の成立条件)。

Don't(やらない)

  1. 装飾・雰囲気目的のイラストを入れない(decorative は d≤0.00、seductive details g=−0.33)。
  2. 面白い余談・ネタ要素を図に混ぜない(同上)。
  3. 本文の文章をそのまま図中に全文再掲しない(redundancy: 図内は短いラベルに)。
  4. 図と説明を離さない。「上図参照」「図3を見よ」で視線往復させない(split-attention)。
  5. 全要素を同格に彩色しない(シグナルの消失)。
  6. 1枚に10工程を詰めた巨大図を作らない(segmenting 違反+把握原則違反)。
  7. 矢印を足すだけで「強調した」ことにしない(視覚シグナル単体は効果不安定 — 言語ラベルとの併用が条件)。
  8. 自動再生アニメーションに置き換えない(静的図の系列に安定して勝てない。使うなら停止・速度制御必須)。
  9. 「視覚学習者向け」を根拠・宣伝文句にしない(学習スタイル適合仮説は棄却済み。根拠は二重符号化・CTMLと書く)。
  10. 図の効果を自明視しない: 特に上級者向けページでは図の追加が中立〜逆効果になりうる(expertise reversal / Cromley 2025 の全体 g=0.37 という控えめな現実)。

10. 未確認事項(明示)

主要出典

要点の要約: 効くのは「本文と同じ構造・同じ語彙で、必要最小限の要素を、説明箇所に密着させて置いた図」+「学習者にそれを再現・構築させる課題」。害になるのは「装飾・余談・分離配置・過密・自動アニメ」。根拠は学習スタイルではなく、全員共通の二重チャネル+容量制限という認知アーキテクチャにある。

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